電気炉について

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当社電気炉の概要

1962年4月、第2製鋼工場にダイドーレクトロメルト式200t電気炉を設置しました。
200t大型電気炉はアメリカに6基、ベルギーに1基、計7基しか稼動しておらず、世界最大、最新の電気炉として稼動しました。
その後、偏心炉底出鋼方式(EBT)に改造したほか、アルミ導体アームの採用、多機能(コヒレント) バーナー更新などの改修を行ない、日本最大級の高性能電気炉として2024年7月の稼働停止まで60年以上にわたり活躍しました。
2024年10月には、環境対応型高効率電気炉(ECOARC-FIT™)へ更新を行い、稼働を開始しました。新電気炉は、排熱を利用した鉄スクラップの予熱と密閉式・連続投入によるエネルギーロス低減により、従来設備に比べ省エネルギー化、生産性向上、騒音・粉じんの発生低減を図っています。

当社電気炉の概要

1962年設置当時の電気炉

当社電気炉

2024年に更新した電気炉(ECOARC-FIT™)

鉄スクラップの選別及び
配合管理による品質管理

トランプ元素とは

電気炉法で除去できない(しにくい)元素で、鉄と同等、もしくは鉄以上に酸化しにくい元素であるCu(銅)、Sn(スズ)、Ni(ニッケル)、Cr(クロム)などです。
これらのトランプ元素が電炉特有の管理元素です。
・スクラップの品種、グレードによりトランプ元素の含有量は予測できます。

Cu モーターなど電気部品、配線、メタル
Sn ブリキ・スチール缶などの錫(スズ)メッキ
Ni,Cr ステンレス、特殊鋼

スクラップの選別および配合管理によってトランプ元素をコントロールすることができます。

トランプ元素の品質への影響

元素名 メリット デメリット
Cu ・耐候性向上
・溶接性を阻害せず、強度up
・過剰添加の場合、半製品に表面欠陥発生
Sn ・めっきでは有効 ・過剰添加の場合、半製品に表面欠陥
・高温での脆化
Ni ・低温靭性向上
・強度up
・含有量のバラツキ大の場合、
 機械試験値のバラツキも大
Cr ・強度up
・耐食性向上
・同上
・過剰配合の場合、焼入れ性up
(普通鋼の場合は不要な性能)

精錬中に数回の成分チェックを行い、含有量を厳密に管理しデメリットを防止します。
トランプ元素は含有量が過剰でなければ、耐候性や溶接性などメリット因子となります。

クリーンな鋼に再生
~鉄スクラップからの不純物除去

鉄スクラップを主原料にしている電炉材は、鉄スクラップに混入する不純物等により、品質にばらつきが大きいのではないかというイメージがありますが、不純物を取り除きクリーンな鋼に再生させる技術を持っています。

鉄スクラップからの不純物除去 図版
C・Si・Mn・Al・Pなど 酸化精錬時に燃焼またはスラグとして回収
S(硫黄) 2次精錬プロセスにて精錬・除去 → スラグとして回収
トランプ元素Cu・Snなど スクラップの選別および配合管理

※スラグは製鋼工程で発生する副産物で道路敷設時の路盤材やコンクリートの骨材などとして利用されています。