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サステナビリティ 持続可能な社会に向けた取り組み

ESG経営の推進

気候変動への取り組み

気候変動問題への対応を経営の最重要課題の一つと捉え、環境対応型高効率電気炉(2024年秋完成)による電力原単位の削減をはじめ、カーボンニュートラルに向けたさまざまな取り組みを実行してきました。更に、このような取り組みを推進し管理するための社内体制を整備し、気候変動問題に関わる情報開示の充実に取り組むとともに、温室効果ガス削減に向けた各種イニシアティブにも積極的に参加しています。

TCFD提言に沿った情報開示

気候変動への取り組みの一環として、2022年11月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」による提言への賛同を表明し、2023年3月に同提言に基づく情報開示を行いました。今後も気候変動に関連する事業リスクやビジネス機会について情報開示を拡充し、多くのステークホルダーの皆様との対話の充実を進めていきます。

ガバナンス

気候関連問題に関する評価・管理をするために社長を委員長とした環境委員会を年2回開催しています。同委員会では、気候変動リスクおよび機会が経営に与える影響やその対応、脱炭素目標に対する進捗状況や課題などを議論しています。また、議論し決定した内容などを常勤役員会へ付議・報告しています。
取締役会はこれらの報告を受けることで、さまざまな経営課題に対し気候関連問題を考慮した上で監視機能を果たしています。

気候関連リスクおよび機会に係るガバナンス体制図

気候関連リスクおよび機会に係るガバナンス体制図

リスク管理

気候変動に関するリスクの特定、選別および評価は、環境委員会の事務局である安全環境防災室にて行われ、環境委員会に報告しています。環境委員会では、気候変動関連のリスクをどのように軽減したり受け入れるのかを議論し、リスク管理を行っています。
また、経営リスク、品質、環境、災害、安全衛生に関するリスクも同様にそれぞれの委員会で議論し、常勤役員会に報告する形で当社の総合的なリスクを管理しています。

主なリスクと対応する委員会

  • リスク
  • 経営リスク
  • 品質リスク
  • 環境/気候変動リスク
  • 災害リスク
  • 安全衛生リスク
  • 対応する委員会
  • リスク・コンプライアンス委員会
  • 品質委員会
  • 環境委員会
  • 防災管理委員会
  • 中央安全衛生委員会

戦略

将来の気候変動が当社の鉄鋼関連事業に与えるリスクと機会を把握するため、国際エネルギー機関(IEA)のシナリオや、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による気候変動シナリオ(1.5℃および4℃シナリオ)を参考に、2030年~2050年におけるシナリオ分析を行いました。
シナリオ分析において抽出したリスクおよび機会のうち、当社事業に与える重要性が高い項目を選定・検討し、対応策を策定しました。

シナリオ 要因 想定される影響と対応策
リスク 機会
1.5℃

① エネルギーコストの増加

  • 再生可能エネルギー比率の向上による電力コストの増加
  • 設備更新や製造工程合理化などで省エネルギー推進
  • 再生可能エネルギーの自社利用拡大

 

② 高炉製鋼法から電炉製鋼法へのシフト

  • スクラップの調達難 (量・価格)
  • 競合製品が増加
  • 長年培ってきた供給網の活用
  • 電炉厚板専業メーカーとして培ってきた技術による製品の差別化
  • CO₂排出量が相対的に少ない電炉鋼材への切替促進
  • 販売機会の増加に応じた生産能力の拡大

③ カーボンプライシング導入

  • 原材料・資材調達コストの増加
  • 燃料価格高騰による物流コストの増加
  • 調達先へのCO₂排出削減の協力要請
  • 鉄道や船舶などCO₂排出量の少ない輸送の選択
  • 中継地利用による輸送効率化
  • 相対的にCO₂排出量が少ない電炉鋼材の価格優位性拡大
  • 更なる脱炭素化による差別化の促進

④ CO₂削減への社会的要請の高まり

 

  • 情報開示や対話の重要性が高まる
  • 適切な情報開示
  • 継続的な対話による活動のPR
4℃

① 自然災害リスクの高まり

  • 自然災害(洪水、台風など)やサプライチェーンの混乱による、操業停止や出荷の遅れなど
  • 主要設備の浸水しない高所への設置
  • 取引先との連携強化
  • 防災やインフラ整備などの公共投資増加による厚板需要の増加
  • 販売機会の増加に応じた生産能力の拡大

指標と目標

CO₂排出量削減目標2050年度のカーボンニュートラル達成に向けて、2030年度においては2013年度比46%削減という目標を掲げ、達成に向けての取り組みを実施していくこととしました。

     
CO₂排出量削減目標 2030年度|目標 46%削減(2013年度比)
2050年度|目標 排出量実質ゼロ

CO₂排出量実績 2023年度のCO₂排出量は、Scope1(自社での直接排出)およびScope2(他社から供給されたエネルギー起源の間接排出)の合計で207千トンでした。基準年である2013年度に対し、原単位換算では7.1%削減まで進捗しました。
また、2021年度以降のScope1、2、3の数値については、第三者機関による検証を受け、信頼性確保に努めています。今後も、サプライチェーンの排出量も算定し、より開示の透明性を高めるとともに、削減に向け注力していきます。

Scope1・Scope2・Scope3の排出量推移
排出量推移
Scope1・2・3とは
Scope1・2・3とは

※環境省HPより中部鋼鈑作成
Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)
※第三者機関の認証範囲はScope3(カテゴリ①②④⑤⑥⑦)

※2023年度のScope2の増加は電力会社のCO₂排出係数が一時的に悪化したことによるものです。

CO₂排出量削減に向けたロードマップ

CO₂排出量削減に向けたロードマップ

カーボンニュートラルへの取り組み

環境対応型高効率電気炉の導入2024年秋 完成

脱炭素への貢献、競争力の強化、周辺環境に対する負荷低減を図るため、これまで約60年間稼働してきた電気炉から、最新鋭の新電気炉へ更新いたしました。

新電気炉の構造
新電気炉の構造
新電気炉の特徴
  • 溶解時の排熱を利用した鉄スクラップの予熱と 密閉式・連続装入によるエネルギーロス低減

  • 生産性・歩留の向上により 資源の有効活用とコスト競争力強化

  • 既設電気炉との比較

       電力原単位▲15% 騒音・粉じんの発生低減
お客様の脱炭素ニーズへの対応

カーボンニュートラルへの取り組みや意識は社会のあらゆる分野において着実に高まっています。スクラップを主原料とし、製造過程での温室効果ガス排出量の少ない当社製品に関心を寄せるお客様が増加しており、当社製品の品質や納期対応についてお客様に丁寧に説明し、安心して当社製品をご利用いただくことでお客様の脱炭素ニーズにお応えしていく取り組みを進めています。
こうした取り組みの一環として、2023年7月には「建材営業チーム」を立ち上げ、技術部門と協働しながら、施主様や設計事務所、ゼネコン、ファブリケーターの皆様への認知活動を強めています。
引き続き、お客様の品質や納期に対するニーズに真摯にお応えする中で、お客様のカーボンニュートラルへの取り組みに貢献していきます。

工場見学による認知活動風景

工場見学による認知活動風景

再生可能エネルギーの活用

2013年に1.5MWの太陽光発電設備を工場建屋屋上に設置し、再生可能エネルギーを供給しております。また、2024年から中部電力ミライズ㈱が中部地方の複数の太陽光発電所から調達する電気を当社で使用するというオフサイトPPAサービスを導入、今後更に当サービスの活用を拡大していきます。

外部との協働

当社は、温室効果ガス削減に向けた各種イニシアティブに積極的に参加しています。

GXリーグへの参画

2022年4月、経済産業省が公表した「GXリーグ基本構想」に賛同を表明し、2023年5月からGXリーグに参画しました。GXリーグは、GX(グリーントランスフォーメーション)に積極的に取り組む企業群が政府や官公庁・大学等の研究機関・金融機関等とともに、一体となって経済システム全体の変革のための議論や新たな市場の創造に向けた実践を行う場とされています。

TCFD

2022年11月、企業などに対し気候変動関連リスク及び機会などについて開示を推奨するTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に賛同を表明しました。

気候変動イニシアティブへの参加

2023年1月、気候変動対策に積極的に取り組む企業や自治体、NGOなどのネットワークである「気候変動イニシアティブ」に参加しました。